対話片
――何故そんなに自分を傷つけるの
痛みが欲しいから
――そんなにしたら、傷が残ってしまう
残っていいの
――血も沢山、流れてしまう
こんな血、なくなってしまえばいい
――痛いわ
痛い。痛いわ。
――それなら何故
痛くなくては駄目なの
――…
痛みが欲しいの、痛みでなくてはならないの
痛くなくては、赦せないの
――赦す
私が満たされない。
――満たす
痛みで、痛みだけが、私は私の罪を赦す事が出来る
それ以外は私に何ももたらさない
――こころは
ずたずたに裂いてしまった。
大切な人の心も壊してしまった。
そして私は未だに生き続けている。それが赦せない。
だから、
――だから
……私は自分に痛みを与え続ける。
痛みが、皮膚を裂いて出来た傷だから、私の体をめぐる血が流れ落ちるから、
私はその痛みと、生命を削る行為でのみ、私を赦す事が出来るのよ
――わたしには何も出来ないの
あなたは私を気にかけてくれた。
過去に犯した罪を思い出さなければならない貴方との対話は、
酷く残酷で苦痛を伴うものだったけれど
それでも私は幸せだった
――私のために、生きてはくれないの
既に他人に預け、捨てた命だから。
――それでも
貴方ともっと早く出会えていればよかった。
有難う。そしてさようなら