傷跡
判っていた
それを手放すことも
これを受け入れることも
総て判っていた
結果なんて 問うまでもなく
解りきっていた
優しい目が あの子しか映していないことを
大きな手が あの子にだけ差し出されることも
言葉を紡ぐ唇が あの子の名を呼ぶだろう事も
その表情を幽かに曇らせて 謝ることも
知っていた あの子よりも沢山
知っている
だっていつも
あなたの事だけを見ていたから