無口な夕暮れ
あの声を聴くと
ぽっかりと穴の空いたわたしが
背後からやってくる
ひやりと冷たく黒い色をした手が
心臓を鷲掴みにする
キゥゥ…と背中が竦み上がって
硬くなった筋肉が緊張で波打ち
呼吸が停止する
死を意識した脈動が静寂に満たされた空間に
強く強く響く
“アレ”がきた
わたしを飲み下し自らの糧にして肥大した“アレ”が
冷たくて大きく無音にして無二の音を奏でる“ソレ”
干上がった咽喉に熱く絡みつく蜜を流し込み
総ての意識を蝕み取り込んだ
わたしは黒い“わたし”を創る