君は今、満ち足りているだろうか――



The World of 'mono'chrome.



暗闇に総ての音は吸い込まれ
耳に残るは悲鳴に似た物悲しい耳鳴り
それはまるで君の悲鳴のようで
僕は思わず目を閉じ耳を塞ぎ、その場にしゃがみ込む

このうら淋しい白と黒に彩られた世界でただ一人
君の魂だけが
まるで虹のように七色の光を放ち
硝子のような鋭さで僕の目を射抜いたのは何時の事だったか
あまりにも遠すぎて、もう思い出せないよ

そのしなやかな腕も 透ける様な肌も
艶やかな髪も 熟れた果実のような唇も
鋭い切っ先を持つ眼差しも
総てが鮮やかで
今でも君が目の前にいるような錯覚を覚えるよ

君はあまりにも純粋すぎたから
この真冬の海のような白黒の世界では
――…この真冬の海のような白黒の世界に留まるには
稀有な存在過ぎて
光り輝く美しい君を、
屹度神様が欲しくなったに違いない
白い煙になって、空へと昇る君の欠片は
大気に溶け込み
総てのモノから解き放たれて
自由に
真直ぐに
翔んで行くことができるだろう

君が望む 君だけの世界に 君の軌跡を描くことができるよ

だからもう、何も苦しまないで
泣かないで
僕を置いて逝った事を悔やまないで
悲しまないで
僕は君が笑っていてくれれば、それで十分だから

君の世界は美しいだろうか

いつか僕が君のところへ行くとき、迎えに来てくれるかな
この白と黒の淋しい世界に君は似合わない
そんな事は、とうの昔に知っていたから
だから僕は君を――

12/01/2006 大気に還る君に
Listening by 新居昭乃
サリーのビー玉 / 覚醒都市  as [ sora no uta ]