その日
空が光りを失い
風の歌声が途絶え
地面の緑は色をなくし
全ての生命が消滅した
茶と藍の混じった淀んだ色の空を見上げ
腐臭を放ち始めた空気を吸い込み
いつ鼓動が止まるとも知れない軆を引きずり
世界を讃える歌を謳った
君を恋う
君を乞う
愛しい人を呼ぶ歌を
禽の様に綺麗に囀れているだろうか
腐った空気が肺を蝕み
視界も霞みはじめた
ぐずぐずに緩んだ土に脚が膝までめり込んで
もう立っているのかすら判らなかった
閉ざされた世界に
五感の閉ざされた僕が一人
取り残され
忘れ去られた君を請うて
今日も僕は
世界を咒う歌を謳い続ける