愚者の憂鬱

君のためなら死ねると云った貴方は
一緒に逃げてと云った私の手を離した

総てを捨てられず 私をも捨てきれず
悩んだ果ての 嘘なのでしょう

貴方の気持ちは 手に取るように判った
欲張りな貴方


地位や名誉や財産や
沢山のモノに囲まれた貴方は
屹度自分にとって何が大切なのか
判らなかったのだろう


愚かな貴方


たとえそれが私でなかったとしても
それならそれで
仕方がないと思っていた

ねえ 愚かだった貴方は
今なら 何を望む?

私だろうか
それともあの時と同じ様に
地位や名誉を選ぶのだろうか

この罪深い 裏切りという「罪」を犯してまでも
貴方が手に入れたかったモノは
貴方にとって甘露だろうか

不貞の烙印を押された私は
其れほどまでにみじめだったろうか


愚かな私は 貴方に何を齎した?


あの日
君の為なら死ねると云った貴方は
あの時
私ではない誰かの手を取って

守ろうとしたモノ
総てに裏切られたと云うのに

私を裏切った 愚かな貴方
貴方を信じた 愚かな私



愚かな貴方は 私に何を齎した?